大忍
大忍というのは、松下幸之助さんが気に入られていた言葉であったようで、晩年には、とくにこの「大忍」という言葉の額を揮毫(きごう:筆により字を書くこと)されていたようです。
昭和52年に上から数えて25番目の若い取締役を新社長に抜擢されたときも、新社長が就任されて間もなく、当時、相談役でしたが松下幸之助さんは、一枚の額を持って新社長室に入って来られたそうで、その額にこの「大忍」という言葉が書かれてあったそうです。
その際に一言:「自分も同じ額を部屋にかけておくよ。きみがこの額を見るとき、私も見ているだろうとおもってくれたらいい」
Y新社長は就任以来、経営体質の強化の改革を断行し、先輩の3副社長に引退して貰うなど信念に基づく大胆な経営を行っていました。
役員の中でも「あの男は、クールで話にくい」などの声がでていたとのことで、松下幸之助さんもそのことを心配していたとのことです。
また昭和55年に神奈川の茅ヶ崎に「松下政経塾」を開塾された(吉田松陰の松下村塾が念頭にあった)際にも、塾生が入る各部屋には、自ら心を込めて書いたこの「大忍」の額が「素直」の額と並べて掲げていました。
現在、松下政経塾の出身の政治家の中にもこの「大忍」を座右の言葉とされている方が多数おられるようです。
この「大忍」に込められた意味は、「大きな志を持てば大きな忍耐が求められる。大きく忍び、おおいに忍んで大志を遂げて欲しい。」との思いだったようです。
ちなみに【字通】によると忍の語源は、「能くするなり」とあり、忍耐の意。耐・能などと同声。『たえる、こらえる、よくする、しのぐ。しのぶ、がまんする。ゆるす、おさえる。むごい、平気。音からすると刀の刃部に光のあることを示す刃で靱と通じ、しなやか、しなやかでつよい』などの意味になるとのこと。



